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Dilemma
第1章 【あざとい後輩】
「ヤバ…今の顔、なんすか?」
「え?」
ちょ、ちょいちょいちょいー!!
簡単に家の中、連れ込まれてしまった
そして今、完全に腕の中
熱い……身体……本当に熱上がっちゃうよ?
「すみません、一分だけ、このままで」
病人だから…と許してしまう
男だからやっぱり筋肉質で力強い
熱い吐息が肩にかかる
煩いくらい高鳴る鼓動、伝わってきた
「マジで、溢れちゃいそうです」
「溢れるな、溢れるな」
「先輩の所為です、責任取ってください」
「な、何の?」
「好きが溢れちゃいました」
とうとう、言われてしまった……
まだ距離は近いまま、マスク越しの顔
「まぁ、その前にちゃんと治しな?話はそれから」
「え、約束してください……チャンスくださいね?」
「チャンス?」
「俺の事、真剣に考えてください」
目が合ったまま、早くも観念してしまう
「そこだけブレないね?はは、何処が良いんだか」
「全部っす、成瀬先輩の全部が」
「わかったわかった、それ以上言わないで」
その先は言わせない、と口を手で覆う
この後も仕事が待っている
だから「もう行くね」と部屋を出た
お留守番する番犬みたい
寂しそうにこっちを見つめてるからつい、
癖っ毛な髪を撫でてしまう
弱いんだよな、ああいう顔されるの
その夜も普通に家に行き、
お粥なんかを作ってる私も正気か?
“う〜何も出来ない…”なんてメールが届いたから
介抱してる自分が信じられないよ
少しだけ、と後輩が寝ているベッドを背もたれに
パソコン開いてメールチェックしていると
肩の方から覗いてくる
「何か不思議っす、俺の家に成瀬先輩が居るって」
「自分で呼んだんじゃん」
「今なら我儘聞いてくれるかな、と思って」
「まぁ〜熱出なくて良かったね〜よし、終わった」
「え、もう帰るんすか?」
「ん?帰るよ、用済んだでしょ?」
「そ、そんな…待って」

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