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Dilemma
第1章 【あざとい後輩】





「そりゃそうですよ、ワインだけ弱いなんて聞いてなかったですから」



ありゃ、カミングアウトしてたのね
急に近付いて来て、今度はこっちが身構える
顔を覗き込んできた



「二日酔いとか大丈夫ですか?」


「う、うん…何とか」


「あの、ちなみにですけど…どの辺りまで覚えてます?」



そう聞かれて不覚にも頬を赤らめてしまうと
神倉くんも赤くなって顔を覆いながら
「あ、やっぱ言わなくて良いっす」と何かを
察した様子だ
きっと今、同じ光景が頭に浮かんでるはず



「俺は後悔してませんから…だからなかった事にはしないでください」



目が合って、うん…と頷いた



「順番とか逆になっちゃいましたけど、俺の事、真剣に考えてくれます?」


「……あの、でも、私、今は誰とも付き合う気はなくて」


「今は、でしょ?俺がその考え変えちゃうかも知れないじゃないですか」



す、凄い自信……若いなぁ
一旦、流れに身を任せる…のは私の逃げ道
逃げて何になるんだか



「じゃあ…お試し期間で、まずはお互いを知る…ところから始めてみる?」


「えっ!みるみる!やった!」


「ちょ、声が大きい!」



悶絶しながら喜ぶ姿を見て、
「OKした訳じゃないからね?お試しだよ?」と
念を押す
向こうにとっては渡りに船かも知れないけどさ
とりあえず私も向き合ってはみる



お試し期間は二ヶ月、内密に行うこと
私の気持ちが変わらなければそこで終了
変に期待を持たせてはいけないし
落ちなければ良いだけの話



「週に一度は俺との時間作ってくださいね?」


「うん」


「どうしても作れない時は家に行っても良いですか?」


「泊まりはダメだよ?」


「うっす、顔見るだけで良いんで」


「すっぴんだったら無理」


「え、良いじゃないですか、寧ろすっぴん見たい」


「本当に心許した人にしか見せないの」


「じゃ、そうなれるように頑張ります」



この掛け合いもいつの間にか心地良いと思い始めてる
会議室を出ようとした時、呼び止められて……







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