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『帰り花の夜に』~義母の静謐なる背徳
第8章 義息~超えてはいけない境界線(7)
「あああっ、イク……私、もうイッちゃう……!」
彼の腰が激しく加速し、二人の吐息が擦れ合って重なった瞬間、熱い奔流が深部に放たれた。
壁掛け時計の細い秒針は、十五時を少し回ったあたりを刻んでいた。あらかじめ決められていたリミットを、私たちはわずかに踏み越えていた。
服を身につけるにつれて、現実の重力が徐々に身体へと戻ってくる。けれど、家に帰れば彼はいつものように、何事もなかった顔をして食卓の向かいに座っているのだ。切り離されるはずの時間の糸は途切れることなく、奇妙に捻じれたまま続いていく。
それはとても奇妙な感覚だった。娘の前で平静を装うだけで、すべては何事もなかったことになる。けれど、私の身体の奥底には、彼の形そのものが冷めない鋳型となって焼きついてしまっていた。
銀色の車は海沿いの国道を滑るように走った。午後の強い日差しを浴びて、海面は目眩がするほど白くきらめいている。
――海はこんなにも無垢で静かなのに、私はなんて取り返しのつかない場所まで来てしまったのだろう。
待ち合わせをした見慣れた交差点で、車が静かに停まった。
「ここで降ろして。歩いて帰るから。亮介くんは、少し時間を潰してから戻ってね」
「わかりました。……じゃあ、また後で」
ドアを開け、アスファルトの上に足を降ろす。交わるたびに深くなっていく快楽の底知れなさに、私は身震いするような暗い予感を覚えていた。
皮膚同士が擦れ合って熱を持った粘膜が、歩くたびに微かに痛んだ。私は少しだけ内股になりながら、娘と孫たちの待つあの平穏な家へと、夏の光の中をゆっくりと歩き始めた。
彼の腰が激しく加速し、二人の吐息が擦れ合って重なった瞬間、熱い奔流が深部に放たれた。
壁掛け時計の細い秒針は、十五時を少し回ったあたりを刻んでいた。あらかじめ決められていたリミットを、私たちはわずかに踏み越えていた。
服を身につけるにつれて、現実の重力が徐々に身体へと戻ってくる。けれど、家に帰れば彼はいつものように、何事もなかった顔をして食卓の向かいに座っているのだ。切り離されるはずの時間の糸は途切れることなく、奇妙に捻じれたまま続いていく。
それはとても奇妙な感覚だった。娘の前で平静を装うだけで、すべては何事もなかったことになる。けれど、私の身体の奥底には、彼の形そのものが冷めない鋳型となって焼きついてしまっていた。
銀色の車は海沿いの国道を滑るように走った。午後の強い日差しを浴びて、海面は目眩がするほど白くきらめいている。
――海はこんなにも無垢で静かなのに、私はなんて取り返しのつかない場所まで来てしまったのだろう。
待ち合わせをした見慣れた交差点で、車が静かに停まった。
「ここで降ろして。歩いて帰るから。亮介くんは、少し時間を潰してから戻ってね」
「わかりました。……じゃあ、また後で」
ドアを開け、アスファルトの上に足を降ろす。交わるたびに深くなっていく快楽の底知れなさに、私は身震いするような暗い予感を覚えていた。
皮膚同士が擦れ合って熱を持った粘膜が、歩くたびに微かに痛んだ。私は少しだけ内股になりながら、娘と孫たちの待つあの平穏な家へと、夏の光の中をゆっくりと歩き始めた。

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