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『帰り花の夜に』~義母の静謐なる背徳
第2章 義息~超えてはいけない境界線(1)
「お義母さん、せっかくだから着けてみてくださいよ」
「そうそう、着けて、着けて」
「どっちの耳がいいかしら?」
「女性はピアスを一つだけつける場合は右耳って、ママが言ってなかった?」と葉月が言いながら、右耳を差し出した。そこには、プレゼントされたピアスと同じ形のダイヤのピアスが、小さく光っていた。
「じゃあ、そんなに言うなら着けるわね。ちょっと待ってて」
娘たちはニコニコしながら、私を見ている。
洗面台の三面鏡の前に立ち、肩までかかる黒髪をかき上げる。右の耳たぶを軽く引っ張った。最近はピアスをつけていなかったので、穴がふさがりかけていないか少し心配だったが、ポストは抵抗なく耳を通った。
リビングの白い蛍光灯の下ではなく、三面鏡の薄いオレンジの光の下で見るシトリンは、より一層、太陽のような輝きを放っていた。最初に宝石を見たときとは違う、静かな喜びが、水のようにゆっくりと溢れ出す。
鏡の中の自分を、改めて見た。肩の線はなだらかに落ち、そこから胸のふくらみへと自然につながる。胸の下で一度、わずかに絞り込まれたあと、腰へと滑らかに流れていく。ジャージの生地が、その曲線を隠すどころか、むしろ強調するように密着している。四十八歳とは思えないほど、無駄のない、静かで張りのあるボディラインだ。
年齢を重ねても失われなかった、しなやかな弾力が、そこに確かに残っている。横から見れば、背中から尻へと続く緩やかな弧が、よりはっきりと浮かび上がる。
私はリビングに戻った。朝からファッションショーみたいだな、という照れくささもあって、「どう、似合ってるかしら? 私って綺麗?」と、軽くジョークを交えながら、二人の前に立った。
腰をわずかにひねると、肩から胸、腰、そして脚へと続く一本のラインが、ジャージの下でくっきりと動いた。その動きだけで、体の輪郭がより鮮やかに空気の中に描き出される。
「ママ、すっごく綺麗。似合ってるわよ。何をプレゼントしようかって散々悩んだんだけど、これにして良かった」
「ねえ、これって高かったでしょ。無理させたんじゃないの?」
余計な心配はしないで、と言わんばかりに、葉月はかぶりを振って見せた。そして、「次はジャージ姿じゃなくて、ドレスアップしてから着けてね」という娘の言葉で、私は一気に現実に引き戻された。
「そうそう、着けて、着けて」
「どっちの耳がいいかしら?」
「女性はピアスを一つだけつける場合は右耳って、ママが言ってなかった?」と葉月が言いながら、右耳を差し出した。そこには、プレゼントされたピアスと同じ形のダイヤのピアスが、小さく光っていた。
「じゃあ、そんなに言うなら着けるわね。ちょっと待ってて」
娘たちはニコニコしながら、私を見ている。
洗面台の三面鏡の前に立ち、肩までかかる黒髪をかき上げる。右の耳たぶを軽く引っ張った。最近はピアスをつけていなかったので、穴がふさがりかけていないか少し心配だったが、ポストは抵抗なく耳を通った。
リビングの白い蛍光灯の下ではなく、三面鏡の薄いオレンジの光の下で見るシトリンは、より一層、太陽のような輝きを放っていた。最初に宝石を見たときとは違う、静かな喜びが、水のようにゆっくりと溢れ出す。
鏡の中の自分を、改めて見た。肩の線はなだらかに落ち、そこから胸のふくらみへと自然につながる。胸の下で一度、わずかに絞り込まれたあと、腰へと滑らかに流れていく。ジャージの生地が、その曲線を隠すどころか、むしろ強調するように密着している。四十八歳とは思えないほど、無駄のない、静かで張りのあるボディラインだ。
年齢を重ねても失われなかった、しなやかな弾力が、そこに確かに残っている。横から見れば、背中から尻へと続く緩やかな弧が、よりはっきりと浮かび上がる。
私はリビングに戻った。朝からファッションショーみたいだな、という照れくささもあって、「どう、似合ってるかしら? 私って綺麗?」と、軽くジョークを交えながら、二人の前に立った。
腰をわずかにひねると、肩から胸、腰、そして脚へと続く一本のラインが、ジャージの下でくっきりと動いた。その動きだけで、体の輪郭がより鮮やかに空気の中に描き出される。
「ママ、すっごく綺麗。似合ってるわよ。何をプレゼントしようかって散々悩んだんだけど、これにして良かった」
「ねえ、これって高かったでしょ。無理させたんじゃないの?」
余計な心配はしないで、と言わんばかりに、葉月はかぶりを振って見せた。そして、「次はジャージ姿じゃなくて、ドレスアップしてから着けてね」という娘の言葉で、私は一気に現実に引き戻された。

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