この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ
『帰り花の夜に』~義母の静謐なる背徳
第2章 義息~超えてはいけない境界線(1)
三年前の十一月、私は四十八歳の誕生日を迎えた。

「五十の大台も、もうすぐだわ」

そんなことを、ときどき考えてしまう。気落ちするわけではない。ただ、数字がひとつ増えるたびに、何かが静かに遠ざかっていくような気がするだけだ。それでも私は、一年のうちでいちばん冬が好きだ。十二月になればクリスマスが来て、すぐに正月がくる。来るべきイベントのことを思うだけで、胸の奥がわずかにざわつく。

今年もいつものように、クリスマスから正月にかけて、家を離れた子供たちが帰省してくる。家は一気に賑やかになる。大学生の長男は、自宅が居心地がいいのか、あるいは彼女がいないせいか、冬休みに入るとすぐに帰ってくる。

私の名前は美香。二十四歳で結婚した。私よりも若い年齢で結婚した長女の葉月が、結婚相手を連れて三泊の予定で年末に帰省してくることになった。私は自宅の大掃除や年末の締め、年始の準備に、ほとんど休む暇なく体を動かした。

特に家が広いこともあって、大掃除は一年でいちばんの大仕事だった。二台のルンバがリビングをせわしなく動き回る中、三日間かけた掃除は、ようやく終わりを迎えようとしていた。

医師である主人の経営する医院も、昨日から年末休みに入った。昨日は珍しく朝早く起きて、ガレージの掃除と愛車磨きに勤しんでいたが、今日はまだ眠っているのだろうか。二階の寝室のドアは、閉まったままになっている。

空は晴れ渡っていた。初冬には珍しいやわらかな日差しが、自宅前を流れる清滝川の水面に反射し、万華鏡のような光の模様を描き出している。私は底冷えのする朝、愛犬の散歩に出かけた。

閑静な場所なので、道行く人の姿はない。日差しは道路に人影を落とすことなく、アスファルトをまっすぐ照らしている。吐いた白い息が空中に舞い、すぐに消えていく。愛犬も暖かい家の中があまり好きではなかったのか、ハーハーと息をつきながら、私の持つリードをいつもより力強く引っ張って歩いている。

愛犬がマーキングをした電柱の根元に、小さな花が咲いているのに気づいた。私は冷たい手で花びらをそっと撫でてみる。この季節に咲く花は珍しい。後で調べてみると、「帰り花」とか「忘れ花」というらしい。いいネーミングね、って感心してしまった。
/110ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ