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『帰り花の夜に』~義母の静謐なる背徳
第7章 義息~超えてはいけない境界線(6)
湯上がりの熱気が、まだ肌の表面に薄い膜のように貼りついたまま、私たちはどちらからともなく言葉を交わさず、ただ互いの存在に引かれるようにして私の寝室へと流れ込んだ。廊下の冷たさが素足を一瞬だけ刺激し、それからドアが閉まる音が、まるで遠くの潮の満ち引きのように静かに響いた。

窓辺に寄ると、私はレースのカーテンごと、厚手の遮光カーテンを一気に引き絞った。シャッ、という鋭い衣擦れの音が寝室の空気を切り裂き、外の陽光は完全に遮断された。部屋はたちまち、濃密な薄暮の底へと沈み込んでいく。まるで深い水の中に沈んだような、呼吸すら重くなるような暗さ。

壁に立てかけた姿見に、濡れたセミロングの黒髪を無造作に束ねた自分の輪郭が、ぼんやりと浮かび上がる。首筋を伝う水滴のひんやりとした感触に背筋が粟立ち、私は糊のきいた白いシーツの上に、身体を投げ出した。清潔なリネンが、火照りきった背中の皮膚にじっとりと吸い付いてくる。その感触は、まるで濡れた紙が皮膚に張りつくように、親密で、どこか淫らだった。

普段の大雑把な葉月とは違い、私は毎日、隅々まで磨き上げるようにこの部屋を整えていた。金と白のストライプの壁紙、磨かれた床、きちんと折り畳まれたクッション。それなのに、その端正な密室の天井を見上げていると、かつて味わったことのないほど淫らな眩暈が頭を支配していく。

見慣れた壁紙が、薄闇の中でゆっくりとねじれて見える。鏡の中には、折り重なる義理の息子と義母のあられもない裸形が映っている。――なんて浅ましく、みだらな光景だろう。胸の奥を刺す罪の痛みに耐えかねて、私はそっと鏡から目を背けた。だが、その痛みさえも、すでに熱に溶け始めていた。

亮介くんは容赦なく私の上に覆いかぶさってきた。私の両手首を捕らえると、頭の上へとぐっと押し上げる。逃げ場を奪われ、完全に無防備になった私の胸元へ、彼の荒い鼻息が熱く吹きつけられた。

「お義母さん……体、お風呂の熱が残ってるんですか?」

耳たぶから首筋、そして鎖骨へと、濡れた唇と舌が熱い足跡を刻んでいく。シュルッ、と唾液の音が小さく響く。彼の舌先が豊かに熟れた乳房の輪郭を舐め回すたび、私の身体はゼリーのように情けなく震えた。
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