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『帰り花の夜に』~義母の静謐なる背徳
第8章 義息~超えてはいけない境界線(7)
私はそんな愛する娘に対して、決して言葉にしてはならない秘密を抱えている。彼女が心から愛している夫と、何事もなかったかのような顔をして、定期的に肌を重ねているのだ。
反抗期らしい反抗期もなく、まるで手入れの行き届いた芝生のように素直に育ってくれた娘。皮肉なことに、いま私がこの家で最も神経をすり減らし、気圧配置の変化を気にする気象予報士のように顔色を窺っている相手は、彼ではなく彼女だった。
彼と身体を重ねたあと、娘に対する重苦しい申し訳なさを感じなかったことなど一度もない。この不健全な巡回軌道を今日限りで外れようと思わなかった日も一日としてない。
けれど、人生の多くの出来事と同じように、物事はあらかじめ決められた傾斜を転がる硬質なゴムボールのように進んでいく。いずれ私はこの家を去る。そうすれば、グラスの底に残された安物のペリエの炭酸が抜けていくように、すべては平穏に終わるはずなのだ。
朝の光がカーテンを白く透かす頃、私はトーストの最後の一片を飲み込み、娘に告げた。
「少し髪を切ってくるわね。そのあと、プールで2kmほど泳いでから帰るわ」
数週間前から通い始めた区民プールは、私の身体の輪郭をかろうじて維持するための装置であり、同時に、彼と昼下がりに落ち合うための完璧なカモフラージュだった。
美容室の大きな鏡の前で、私は長く維持してきた髪を切り落とし、顎のラインで切り揃えたボブにしてもらった。ハサミが通るたび、過去の一部が床に落ちていくような錯覚を覚える。首筋が急に生々しい外気に晒され、まるで他人の皮膚を移植されたような奇妙な軽さと寒気があった。
駅前の公衆電話の影から、短く彼にメッセージを送る。あらかじめ精巧に組まれたタイムテーブルの通り、彼は午後から有給休暇を取っていた。娘が彼のオフィスに詮索の電話をかけるようなことは決してない。私はプールの塩素の匂いの中にいて、彼はスチールデスクの書類の山に向き合っている。世界はそのように整然と秩序づけられていた。
反抗期らしい反抗期もなく、まるで手入れの行き届いた芝生のように素直に育ってくれた娘。皮肉なことに、いま私がこの家で最も神経をすり減らし、気圧配置の変化を気にする気象予報士のように顔色を窺っている相手は、彼ではなく彼女だった。
彼と身体を重ねたあと、娘に対する重苦しい申し訳なさを感じなかったことなど一度もない。この不健全な巡回軌道を今日限りで外れようと思わなかった日も一日としてない。
けれど、人生の多くの出来事と同じように、物事はあらかじめ決められた傾斜を転がる硬質なゴムボールのように進んでいく。いずれ私はこの家を去る。そうすれば、グラスの底に残された安物のペリエの炭酸が抜けていくように、すべては平穏に終わるはずなのだ。
朝の光がカーテンを白く透かす頃、私はトーストの最後の一片を飲み込み、娘に告げた。
「少し髪を切ってくるわね。そのあと、プールで2kmほど泳いでから帰るわ」
数週間前から通い始めた区民プールは、私の身体の輪郭をかろうじて維持するための装置であり、同時に、彼と昼下がりに落ち合うための完璧なカモフラージュだった。
美容室の大きな鏡の前で、私は長く維持してきた髪を切り落とし、顎のラインで切り揃えたボブにしてもらった。ハサミが通るたび、過去の一部が床に落ちていくような錯覚を覚える。首筋が急に生々しい外気に晒され、まるで他人の皮膚を移植されたような奇妙な軽さと寒気があった。
駅前の公衆電話の影から、短く彼にメッセージを送る。あらかじめ精巧に組まれたタイムテーブルの通り、彼は午後から有給休暇を取っていた。娘が彼のオフィスに詮索の電話をかけるようなことは決してない。私はプールの塩素の匂いの中にいて、彼はスチールデスクの書類の山に向き合っている。世界はそのように整然と秩序づけられていた。

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