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ほしいままに
第20章 私はあの人が欲しい(森川澪奈)✩
昼間は暗い立体駐車場の奥に停車した営業車の後部座席でお客さんに抱かれた。
そのあとはアプリで見つけた男性と会って公園のだれでもトイレで後ろから受け入れた。
それでも満たされない渇きを抱えて、今こうしてこの人を求めている。
底知れない渇きの原因は、私にははっきりわかっている。
私は後藤支店長が好きになってしまった。本当はあの優しい腕に抱きしめられたいのだ。
せがんで抱かれたあの夜以来、後藤支店長は私と二人きりになるのをずっと避けていた。
彼には家庭があるから迷惑をかけるわけにはいかない。あれは一夜限りのことと自分に言い聞かせてここまで気持ちを抑え続けて来た。
ある日の午後、後藤支店長に応接室に呼ばれた。彼が私を抱いた、あの部屋だ。
私はかすかな期待を胸に部屋のドアをノックした。
部屋で待っていた支店長が私に言ったのは「池袋支店に一緒に異動しないか」という誘いの一言だった。
予想外のことに驚いたけど、嬉しかった。
でも、その誘いを受け入れる勇気がなかった。

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