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ほしいままに
第21章 俺は本当の君を知りたい(後藤将行)
俺は真っ暗になった正面玄関の前に立った。
その場所からはちょうど森川澪奈の病室の窓が見えた。
他の窓からも漏れていた灯りが、突然、一斉に落ちた。並んだ無数の窓に闇夜の空が映り、病棟が闇夜に溶け込んだ。
時計は午後九時、消灯時間のようだった。
面会時間も終了だから、森川宗太郎も間もなく出てくるはずだ。
森川澪奈の部屋をあとにしたら、この敷地の動線上、必ず正面玄関の俺のいる場所を通って病院から出ることになる。俺は柱の影に身をひそめた。
森川宗太郎の姿を、今一度この目で確認したいと思った。
森川宗太郎は、奇妙なぎらつきを持った男だった。
俺はあの男に、森川澪奈を温かい愛情で包むような父親らしい匂いを感じ取ることができなかった。
むしろ、彼女に事情聴取に来た警察官のような、奇妙な緊張感を漂わせていた。
その緊張感と、森川澪奈の手を撫でるあの仕草のちぐはぐさが、俺の中で異様な違和感となって残った。
森川宗太郎という男をもう一度遠くから見て、その男の不均衡な感じがどこから来るのかを確かめたかった。

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