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ほしいままに
第27章 迷い
「さとみって、私のママなんです。お父さんにとっては、弟の嫁。つまり義理の妹」
「君の叔父でありながら、君のお母さんに恋心を抱いていたのか」
私は支店長の言葉にうなずいた。
「お父さんがあるとき、自分の昔の恋愛について話したんです。
初恋の相手が私のママなんだって。そしてそのとき、私がママにそっくりになった、とも。
そして私のことを抱いて、「さとみ」と呼んだんです。
怖かったけど、それよりも、悲しかった。
恋を成就できなかった悔しさ、愛する人が自分の弟と結婚してしまった辛さ、そして突然この世からいなくなってしまった喪失感。
お父さんはさまざまな思いを、私への愛情に変えているんだって思いました。
だから、その想いを私が受け止めなかったら、誰が受け止めるんだろう?って思ったんです。
・・・それから私は時々、お父さんに抱かれて「さとみ」になりました」
私はひと息に言い終えると、黒い川面をじっと見つめ、暗い過去の記憶に意識を沈めていった。

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