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白衣を脱いだら~熟れた蜜の囁き
第4章 出会い(4)
問いは静かに投げかけられた。昭吾は美香の横顔を見つめる。成熟した女の輪郭が、わずかな光のなかでくっきりと浮かんでいる。歳月が磨き上げた余裕が、そこにあった。

「後悔なんて、していません。むしろ……もっと近くにいたくて」

美香は小さく笑った。その笑みには、どこか寂しげな影が混じっている。

「私ね、こういう場所で交わるのが、あまり好きじゃないの。狭いし、すぐに終わってしまう気がするから。でも、今は……あなたと一緒だと、不思議と嫌じゃなかった」

指が昭吾の手の甲にそっと触れた。熱はもう引いていない。むしろ、残った余熱が、互いの皮膚を通じて静かに伝わってくる。

「ベッドでしたい、って言ったでしょう。本当よ。広くて、シーツが柔らかくて、朝までいられる場所で。光の加減も、香りも、肌の触れ方も、全部ゆっくり味わいたいの」

昭吾はその言葉を噛みしめた。車内の空気は、柔軟剤の残り香と、二人の体温と、愛液の微かな匂いがまだ残っている。それが今は、汚らわしいものではなく、ひとつの記憶として、優しく漂っていた。

「近いうちに、そういう場所へ連れていってくれますか?」

美香はしばらく黙っていた。それから、ゆっくりと顔を寄せ、額を昭吾の額に重ねた。吐息が頬に触れる。シナモンの香りが、再び昭吾の鼻腔を満たす。

「連れていってあげる。でも、その前に……少し、準備が必要かしら」

その声は低く、穏やかだった。指先が昭吾の唇をなぞる。さっきまで彼女の口のなかで脈打っていた熱が、まだそこに残っているように感じられた。

「私、すぐに体を許す女だと思われたくないの。でも、あなたには……今夜みたいに、丁寧に触れてほしい。焦らされて、感じさせられて、自分が女であることを、改めて思い出させてほしい」

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