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第2章 第二章　　距離感の穴埋め

2日間、工事現場を通るたびにその男は私に声をかけた。

「やあ、今日も暑いね。」

そんな普通の事柄・・・。

そして三日目。

「この工事、今日で終わるんだ。よかったら後でお茶しない？」

驚きの様相でいて、実は予感めいた言葉だった。

そう・・・。いつのまにかその変な男を毎日意識している自分に気づいていたから。

　おかしい・・・

この程度の男に左右される私じゃないのに・・・。

ペースが合うのか・・・生理的に実は嫌いなタイプではなかったのか・・・。

自問自答しながら答えた。

「はい・・・何時くらいですか？」

「あと3時間くらいだよ」

「そうですか・・・」

あと3時間でこの男との変な駆け引きも終えるのね・・・。


でも・・・

もう少しこの男を知りたい自分がいる。

別に浮気をしたことが無い訳ではない。

どちらかといえば、昔はキャバクラで少しはならした過去もある。

でもこういうタイプの男はいなかった。

ガテン系の男達とは数人付き合いをしたこともあるが、このマッチ棒みたいな体系のガテン系には会ったこともない。

「じゃあ、その先のサイゼリアで待ってて」

自分から待ち合わせ場所を告げた。

多分・・・いや、ほぼ・・・彼の手中に嵌ってしまった瞬間だった。