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*妄想社長に振り回されて*
第2章 色気と私
「今日どっか行くんですか?」

「え、と……会社?」

「の後は?」

「特にどこにも行かないけど?」

大学3年生の彼は私が会社に入った時と同じ時期にこの喫茶店にバイトにきていた子で、この二年間の私の服装もメイクもよく知っている。

「……変、かな?」

黙ったままの桜井くんに私は思わず尋ねた。
すると桜井くんはハッとしたように私に焦点を合わせ首を横に振った。

「めっちゃ可愛いですよ!俺本気でびっくりしましたもん!」

「いやいやいや」

「マジですって!あ、もしかして彼氏できたんですか?」

カレシ……か。

暗くなった私の雰囲気を察して桜井くんが明るい声を出す。

「じゃ、じゃあ好きな人ができたとか?」

相手は私のこと対象外っぽいけどね……。

さらに暗くなった私に桜井くんは私の顔を覗きこんだ。
黒ぶちの眼鏡がよく似合ういわゆる眼鏡男子だ。
こうやって見ると可愛い顔をしている。



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