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*妄想社長に振り回されて*
第10章 桜井くんと由梨ちゃん
「あ、兄貴。私の部屋から財布とってきて。ベッドの上にあるから」

「……は?」

「は、じゃなくては、や、く!」

意味が分からない。
5歳も年下の妹に使われる俺に、兄としての威厳は残っているのだろうか。

「お前、今日の晩飯覚悟しとけよ……」

ぼそっとそう呟くと、俺は妹部屋と呼ばれる部屋に入った。
ここは3人の妹全員の部屋だ。
部屋数は3つしかない為、両親の部屋、俺の部屋、妹部屋に分かれている。
部屋の中に置いてある二段ベッドの上を見ると、枕元にピンクの財布が置いてあった。

「ったく人使い荒いよなぁ」

「あ、あの!」

財布に手を伸ばしたところで後ろから由梨ちゃんの声が聞こえた。
ぱたん、と閉まる妹部屋のドア。
振り返ると由梨ちゃんがすぐ近くまで寄ってきている。

「どうかした?あ、美亜に何か言われたの?あいつホント人使い荒いよねー」

「違うんです!美亜ちゃんは悪くないんです!私が……頼んだから…」

俯いてしまった由梨ちゃんのつむじが見える。

……え、頼んだ?
どういうこと?



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