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*妄想社長に振り回されて*
第7章 土曜日と日曜日
「昨日の夕方香菜さんの家に向かっただろ?すぐには会えるわけないって思ってたら、意外にもちょうど香菜さんが家を出るところだったんだ」

社長が私の髪を撫でながらゆっくりと話す。

「向こうはめちゃめちゃ驚いてた。まあそりゃそうだよな。10年以上連絡取ってなかったし」

抱き締められながら私はおとなしく聞いていた。

「で、とりあえず今は用事があるからってことで19時に近くのファミレスで待ち合わせて、やっと話をすることができたんだ」

「元気……でしたか?」

「うん、元気そうだった。昨日はちょうど休みだったらしいけど美容院に勤めてるらしくて、そういえば昔美容師になりたいって言ってたなーって思い出したよ」

懐かしそうに社長が目を細める。

「俺の今の状況も話したし、昔の彼女とのいざこざも話した。ぶっちゃけてしまうなら香菜さんにじゃあ私と付き合えばいいじゃん、って言われたよ」

「でも、しなかったんですか?」

「実際に会ってみて気づいたんだ。俺は思い出の香菜さんに固執してただけなんだって。あの時の俺と香菜さんの関係をはっきりさせたかっただけなんだって」

社長の指が私の頬を撫でた。

「好きではあったけど、付き合ってる意識はなかったって言ってたよ。それこそセフレってやつだ。だからあっさり結婚もしたし、連絡も絶てた」

「で、でも今は…」

「別に悔しいから香菜さんのことを断ったわけじゃないよ。再確認できたんだ。俺にとって誰が大事なのか。俺は誰を好きなのか」

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