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第7章 土曜日と日曜日

「ここまで言えば分かるだろう？」

また涙が溢れた。
涙を拭う大きな手のひらが温かくて、その温度にすら泣けてくる。

「あーあー、こんなに泣き腫らして……って俺のせいだよな。悪かった」

慌てて首を横に振った。

そんなこと気にしなくてもいい。
勝手に私が泣いただけなんだもん。
それに……社長は戻ってきてくれた。
ちゃんと心も一緒に連れて帰ってきてくれたんだ。
これ以上に望むものなんてない。

「しゃ、社長……」

「もう、名前では呼んでくれないのか？」

頬を両手で挟まれ視線を合わすように顔が近づく。

「ま、雅也さ……んっ」

言い終わる前に唇が重なった。
それでなくても頭の中はまだまだ整理できていないのに、舌の裏をくすぐられ優しく吸われるとそれだけで何も考えられなくなる。

「麻希…麻希……」

名前を呼ばれる度に胸が締め付けられた。
嬉しいのに、悲しい訳じゃないのにどうしてこんなに涙が出てくるんだろう。

涙を舌で掬いながら雅也さんの手は服の上から私の体をまさぐっている。
背中から脇腹、お腹を通り、膨らみへと移動する。

「今日は、やめとくか？」

私の顔を覗き込みながら雅也さんが優しく首を傾げた。
そんなに心配されるような顔を私はしてるのだろうか。
雅也さんの指が躊躇いがちに動いている。