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梨華との秘密
第7章 縄肌秘書
 しばらくそのまま行くと、目的のファストファッションのショップが見えた。
 駐車場へ車を止めるころには、朱里の泣き声も収まりはじめ、


「あの、ここですか?」


 泣き張らした目を見開き、彼女が俺を見つめていた。


「うん、ここだ。決心はついたかい?まあ、わかってはいたけど、はっきりお前の気持ちを確かめたくて、お前の友達から教えてもらったんだ。俺も踏ん切りをつけたかったからね。」


「友達って?同期の?」


 朱里の顔に新たな驚きが、広がっていた。


「うん、同期の井上君だよ。彼女も俺達が付き合ってたのを知ってたからね。俺との子供は生みたくないから別れたってね。ヤッパリって、思ったが、落ち込んだわ。」


「ごめんなさい、私、あの時は、それがベストだって思ったの。それに、あなたが、いえ、ご主人様を信用できなかったの。」


 彼女の瞳に後悔が、浮かんだような気がしたが、俺が口を開く前に、柔らかいプルンとしたものが俺の唇に触れた。
 口を開き柔らかい舌を求め、お互いの舌を吸いあった。


「いいんだよ、朱里。あの時はお前の気持ちわかってやれなかった俺が不注意だったんだよ。さあ、行こうか?」


「はい、二郎さん。」


 彼女の吹っ切れたような顔を見ながら、車を降りた。
 店内に入り、彼女をレディースコーナーに連れて行った。
 なにも言わずに朱里が選ぶのを見ていた。


「あの、こんなのはどう?似合う?」


 少し大人しめのベージュのセーターと、濃い紫の薄手のキャミソールを、俺に見せた。


「う~ん、地味だね。もっと鮮やかな色にしなよ。それに、胸のザックリ開いたVネックなんかがいいな。スカートはミニにするんだ。」


「でも、あの、恥ずかしいんです。だから、、。」


 一瞬、どうしようか迷ったが、


「朱里、恥ずかしいから良いんだろ。もっとタイトで身体の線が出なくちゃ、見てもらえないだろう。」


「そ、そんな、、。」


 朱里の中に見られることへの、嫌悪が顔に表れていた。


「そんな、なんて嫌ってるくせに、さっきの店でのはなんだい?いやなら良いんだよ。」


 突き放すように言うと、朱里が悔しそうに唇を噛んだ。
 彼女の答えを待つ気でいたが、その前に首輪を朱里の鼻先に見せた。
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