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梨華との秘密
第9章 乱れ咲く縄華
 まだ、ふらふらとしている三奈の身体を沈まないように、軽く支えながら、ゆったりと手足をのばした。


「うん、明日だよ。続きはね。」


「明日、はい。楽しみ、ウフッ。」


 少し汗ばんだ笑顔が、三奈の少し疲れたような顔を美しく際立たせた。
 何にも考えずに手足を伸ばして三奈と二人、ボウッと浮かんでいた。


「あがろうか?」


「ええ、あがりましょ。」


 お互いの胸の内に、想いを秘めながら浴室を出て、裸にバスタオルを巻きリビングのソファーに腰をおろした。


「はいっ、ビール。良く冷えてるわよ。」


「うん、ありがとう。うまいっ!」


 嬉しそうに微笑みながら、


「ほんと、美味しい!労働の後のビールは格別ね。」


「あぁ、たまらんなぁ。美味しいよ。ところで、明日から三人一緒に暮らすんだけど、三奈はどっちの家でくらしたいね?梨華次第だとは、思うけどね。」


 軽くながされるかな?
 なんて、心配したが、


「私は、あなたの家がいいわ。でも、そうね、梨華次第だわね。けど、たぶん梨華も、あなたの家を選ぶと思うわよ。」


「そうなんや、三奈がそう思ってくれてんのなら、明日、梨華に聞いてからやな。」


 三奈の言葉に少し安堵を覚えながら、


「明日から旅行に行こうかなって、プランは立ててるんやけど三奈は行きたいところはあるんかな?」


 我ながら間抜けな質問だとは思ったが、彼女の気持ちを確かめたかった。


「うーん、あんまりないわね。三人でいられれば、どこでもいいわ。でも、できたらユックリしたいわね。あなたと二人ならどこでも。」


 最後にブッコンデきたなぁ。
 しかし、親子三人で過ごす最初のクリスマスを考えると、三奈の言うことも良いかなって、心が傾いていた。


「そうやね、三人で邪魔されずに羽根を伸ばせるところなら、心当たりがないこともないな。確かめてみるわ。」


「えっ、嬉しい!三人水入らずなのね。梨華が歓ぶわ。」


 無邪気に喜ぶ三奈を見ながら、俺は少し今後のことを話すことにした。


「うん、それと婚姻届なんだが、年内に出そうと思ってるんだ。三奈さえ良ければね。クリスマスがあけたらね。」


 三奈の顔がパアッと明るくなり、


「嬉しい、本当にあなたの妻になるのね、私。」


 三奈の唇が俺の唇を塞ぎ、舌を求めてきた。
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