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梨華との秘密
第9章 乱れ咲く縄華
 突然の三奈の口づけに驚いたが、彼女の唇と舌の感触を十分に堪能しながら、彼女の背中に手を回しユックリと撫でていた。


「落ち着いたかい、三奈?」


「はい、少し、あの、二郎さん、私、二郎さんのこと疑ってたの、あんまり突然だったし、偶然が重なってたし、それに梨華の方を先に調教していたから、色んなモヤモヤがいっぺんに来て、、私、ゴメンナサイ、許して二郎さん。」


 そう言うと、俺の胸に顔を埋め、肩を震わせはじめた。
 なすすべもなく俺は、彼女の背中を撫で続けた。


「ご免なさい、また、泣いちゃった。」


 顔を上げた彼女の目は濡れ、涙の跡が残っていた。


「いいさ、泣きたい時は泣けばね。さあ、ソロソロ寝ようか?」


 はい、と小さくコクリとうなずいた。
 思わず唇を重ね抱き上げていた。



「あっ、恥ずかしい。」


 といいながら、お姫さま抱っこをのがれようとはしなかった。


「良いさ、そこが可愛いんや、三奈は。さあ、梨華と三人、川の字やな。楽しみや。」


「うふっ、楽しみ。梨華、眠ってないかも?」


 三奈が茶目っ気たっぷりに、片目をつぶって微笑んだ。


 かもな、と答えながら二階の三奈の寝室に入った。
 えっ、一瞬誰かいるっと思ってしまって、梨華だとわかるまで少しパニックになっていた。


「二郎さん、梨華よ。」


「あっ、一瞬忘れてたよ。あほやな、俺。」


「うふっ、うっかりはかわらへんねぇ、二郎さん。」


「ほんまやな。あはっ。」


 苦笑いをしながら、三奈をベッドに降ろした。
 俺は三奈と梨華の間に潜り込み、少々狭苦しいが川の字で眠りについた。
 翌朝、目覚ましにたたき起こされ、目を開けると二人の面白がるような目が俺を見つめていた。


「えっ、おはよう?」


 キツネに化かされたような気持ちで、モゴモゴとしゃべると、


「おはよう、パパ、よく眠ってたわね。うふっ。」


 母娘二人が姉妹のように声を揃えて、微笑んでいた。


「先に起きてたんだ。待っててくれたのかい?」


「ええ、そうよ。面白かった。だって二郎さんの顔かわいかったんだもん。」


 三奈のフワッとした笑顔が俺を包んだ。
 つい、三奈を見とれていた俺を現実に返すように、


「パパ、忘れてない?仕事でしょ!」


 梨華がイタズラづらっぽく微笑んだ。
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