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梨華との秘密
第9章 乱れ咲く縄華
 すぐに良い匂いが俺の鼻をくすぐり、お腹を刺激した。
 食事の支度を手伝いながら、摘まみ食いの誘惑と俺は必死に戦ったが、つい、お漬物に、


「パパ、だめよ!小学生じゃないんだから!」


 梨華の強い声に、慌てて摘まんだものを口に放り込んだ。
 すると、背中にパンッとはでな音がした。


「イタッ、三奈のは効くなぁ。ごめんなさい。」


 おどけたように、ペコリッと頭を下げると、


「もう、パパったら、昔っから変わらへんなぁ、摘まみ食いのクセ。しようがない、許してあげるわ。」


 仕方がないなあという顔で、三奈が俺を睨んでいたが、瞳は笑っていた。
 慌てた振りをしながら俺は、頭をかいた。


「ママには叶わないなぁ。おばさんにも良く叱られてたなぁ。」


 俺は昔を思い出し、懐かしそうに答えていた。


「うふふ、そうねぇ。良く家にご飯食べにきてものねぇ。」


 三奈が懐かしむような目で笑って答えた。


「あら、パパとママって近所だったの?ほんとに?」


 梨華のキラキラとした目が、俺には眩しく見えた。


「うん、中学生になる前くらいからかな?よく、おじゃまさせてもらってたね。ママのお母さん、梨華のお祖母ちゃんが綺麗でね。おまけに料理が美味しくて、で、ついついね。」


「そうねぇ、二郎さんはお母さんのお気に入りだったから。でも、おばさんとおじさんが生きてたら、、ごめんなさい、二郎さん。思い出しちゃった。」


 三奈の瞳にふいに、悲しみの色が浮かび、俺も両親の顔を思い出し少し気持ちがウェットになっだが、


「パパ、ママ、どうしたの?ウルウルしちゃって?さっさと並べてね。遅刻するわよ。」


 梨華の声に二人とも、あたふたとテーブルの上に朝食を並べ始めた。
 朝食を食べ始めると三人とも無口になった。
 夜明け前からのセックスで、空腹がつのり、目の前の朝食をたちまちのうちに片付けてしまった。
 食後のコーヒーを飲み終わる頃には、外が明るくなりはじめていた。


「美味しかったぁ。二人ともきょうは早めに帰っておいで、俺たちの家にね。それと、梨華、今日から俺たちの家に一緒に住まないかな?ここが良ければ、こっちでもかまわないけど?」


 俺の突然の申し出に、梨華がどう答えるか、ドキドキしながらまっていた。
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