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梨華との秘密
第9章 乱れ咲く縄華
 ありゃ、こいつ本気かよ。
 どうすべぇ?


「わかりました、他のメンバーは?」


「うん、ありがとう、引き受けてくれて、後の二人は総務の片山ミキと清板翔(せいたしょう)だ。仕事は出来るが、切れすぎて周りから浮いてるんだ。だから、チームワークが乱れるってな苦情が出てるんで、転勤で君と同じ部署で監督してくれないか?」


 ふーん、はみ出しモンを集めて、なんとかしろってか?
 引き受けるしか、ないな。


「わかりました。じゃあ、来月一緒にですか?」


 俺の軽い問いかけに、


「いや、彼等は一ヶ月遅れると思う。組合との申し合わせがあるんでな。ただ、来月の半ばには倉敷に彼等が行くと思うよ。」


「わかりました。ただ、できたら、来月の頭から来させてくれるとありがたいんですが、俺が立ち上げるイベントに必要なんで、お願いします。」


 俺の突然の申し出に驚いたのか、少し考える風に支社長が沈黙していたが、


「わかった、君の希望に添うように工夫してみるよ。」


 話しは終わったという感じで、支社長がデスクに戻ったが、


「支社長、来月の常務の結婚式には、出席されるんですよね?」


「あぁ、勿論、招待されているからね。それが、なにか?」


 支社の係長ふぜいが何をいってるんだという感じで、返されたが、


「いえ、私も出席しますので、披露宴で、お会い出来たらと思いましてね。」


「えっ、君が?誰の招待だね?」


「あぁ、それは、常務の奥様になられる方からの招待です。」


 嘘だろって顔で俺をマジマジと見つめてきたが、


「つまり、社長秘書の知り合いってことか?窓際の君が?」


「まあ、そんなところですね。それから彼女、支社長の噂も知ってましたよ。美澤さんのこともね。」


 恵梨香の名前を出すと、とたんに目を白黒させて小心者のずる賢さが顔を出していた。


「まさか、君が言ったんじゃないだろうな?」


「イエイエ、社長秘書の彼女が調べたみたいですよ。それに、支社長の昔のことも知ってましてからね。」


「まさか、私の過去が?なんで?」


「いや、あの当時支社長の噂は本社の中でも相当有名でしたから、俺は別の部所にいましたが、風の噂で知ってましたからね。調べりゃすぐでしょ。」


 俺の言葉にギョッとした顔になり、俺を追い出すように手を振った。
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