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梨華との秘密
第11章 双華繚乱
 ニッコリと三奈が微笑んだ。


「少し元気を取り戻したんや。安心したわ。もうちょいしたら、コーヒーが降りるけんな(からね)。美味しいアイスコーヒーが飲めるで。」


「えぇ、ありがとう。ごちそうになるわ。」


「ママ、大丈夫ぅ?無理したら、あかんわよ。たった一人のママなんやから。」


 梨華の言葉に微笑みで返しながら、


「梨華もパパもありがとう。心配させたわね。けど、もう大丈夫よ、安心して。だって一番楽しみにしてたのは、私やもん。」


 三奈の笑顔と言葉が、俺達の不安を吹き飛ばした。
 ドリップが終わったコーヒーをタンブラーに注ぐと、パチン、パチン、プチプチと氷が溶け空気が弾ける音が響いた。


「えっ、氷の音?弾ける音?」


 梨華の驚きの声が新鮮に聞こえた。


「えぇ、熱いのを入れるとね。氷の中の空気が膨らんで弾けるの。氷も割れる時にパチンていうのよ。アイスコーヒーの本当の入れ方なの。美味しいわよ。」


 母親の言うことを感心して聞きながら、梨華の表情がなごみ優しい娘の顔に戻っていた。


「そういや、最初の日にもコレやったね、忘れてたわ。あかんなぁ、ウッカリしてたわ。」


「そうね、私も忘れてたわ。ウフフ、可笑しい。二郎さんらしいわ。」


「ええ、そうやったん?あたしも覚えてないわ。ウフフ。」


 三人で顔を見合わせ、笑っていた。


「そうや、忘れんうちに見てもらうかな?二人には、チョイキツいかな?」


 そう言いながらテレビのリモコンを入れた。


「えっ、なに?」


「まさか?うそでしょ!ここで?」


「その、まさかさ。見たくないなら、後にしようか?」


 テレビの画面が明るくなり、DVDの再生画面に変わった。


「いえ、見せて下さい。私達の本当の姿、見たいです。」


「パパ、私も見たい!本当の私を見せて。」


 二人の意外な反応に.、俺は内心慌てたが、再生のボタンを押した。


「うそっ!最初から!」


「うん、ほぼ最初からやね。止めて欲しかったら言うてな。まだ、編集はあんまり進んでないけどね。」


 母娘の反応を観察しながら、アイスコーヒーを味わっていたが、頭の中は次へのステップをどうするか必死で考えていた。


「うそっ!私、あんなに淫らしい。けど、綺麗。」


「あぁ、あんなことまで、私、変態、、」

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