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能天気B型のアタシが美少年と……
第4章 おかまやまの章
「あらワンちゃんお疲れ~?」

とか言って豆シバをぐ~りぐり撫で回してる。
……自分のイヌに『ワンちゃん』て名前を、つけてるんだよこの人は。
紛らわしいよね。
他のイヌと区別つかないと、思うよね。
巨人軍の伝説的ホームランバッターみたいなネーミングだよね。

アタシだったら
『まる』とか『ジュゼッペ』とか、それらしい愛称をつけると、思うよ。
ペット飼うようなガラじゃないけどね。

A女史(えーじょし)は何かと奇矯なタイプなんだ。
いずれ語るだろうけど、どうもアタシはこの人が苦手だよ。
会ってると、ヘンに緊張してしまう。
なんつーか、蛇に睨まれたカエルみたいになっちゃう。

それでも懇意にしてるのは、A女史はOちゃんの親戚だからだよ。
誘われてお宅に行くこともたまにある。

「今日は?Oちゃんと一緒じゃなくて?」

「はぁ、たぶん下に居ます」

「あら?見かけなかったけど
でもいいわ。ワンちゃんお疲れだから
私も帰りますよ」

そう言ってスタスタと先に歩き出す。
ついて来いという事なんだろう……

アタシも後からついてった。
A女史は、おかま山まで犬の散歩にきたらしい。
ちょっと歩かせてあとはずーっと抱っこしてるようだ。

黒と赤の服を着てる。首にスカーフを巻いている。
なんていうファッションか知らんけど、競馬の騎手みたいに見えた。

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