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能天気B型のアタシが美少年と……
第5章 おきくむしの章
チラッと見たら
エドはこっちに、軽く片手を上げた。

エドの格好は
ジーンズにジャンパー。
シャツこそ違ってたけど
アタシと大差ない。

ガラ空きの駐車場にスクーター停めて
近寄ってきたエドの方を向いた時には
もうなんも、意識してなかった。

「やぁ」

「ひさしぶり」

「どーしてたんだよ。
ぜんぜん顔見かけなかったぞ?」

「うん。さっき盆地に来たところ」

「ふーん。忙しそーだな」

「おなか空いてる?」

「ん?おう、晩めしまだだよ」

「食べに行こう。今日はおごるよ」

「なに言ってんだよ!学生さんにオゴられて
たまりますかってんだよー♪」

てな事で、晩めし食べることになった。

とりあえず
商店街の方に連れ立って歩いた。

(ああ、全然へーきだな)

という気分だった。お気楽だった!


「どーすっか。何たべよっか」

「何でもいいよ」

「うーん。この辺じゃ大したもんないし
中華とか、居酒屋とか……」

「……ラーメンでもいいんじゃない」

「!?ラーメン知ってるのか?!」

「うん 知ってるって!」

エドはラーメンを知ってた!
実はラーメンは、盆地の界隈ではちょっと有名だ。

いや、中華ソバも普通のラーメンも
盆地にはある。ラーメン文化が存在しないってほど未開の土地ではない。

ここで言うラーメンは、ラーメン屋の名前だよ。
”昇竜軒”とか”にゃんにゃん”とかあるっしょ。屋号みたいなモノが。

それが、この商店街の片隅でひっそり経営してるラーメン屋には、ないんだよ。

「ハハッ、そーすっか!」

「そうしよう!」

となって、ちょっと歩いて”ラーメン”まで、来た。
店の前に張り出した、赤いビニールのひさしには、でーっかく

”ラーメン”

と白地で書かれている。
……それ以外の情報は一切ない!
……電話番号すら書いてない。

この潔い経営スタイルが話題になって
学生だった頃は地元でひそかなブームだった。
電車通学の帰りに同級生と寄ったりしてた。
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