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能天気B型のアタシが美少年と……
第5章 おきくむしの章
「……うまいね」
「うん」
ズルルっと食べながら
エドと、ぽつぽつ話している。
実際ここのラーメンは
背油もしつこくないし、うまい。
ふつーの醤油味で、昔ながらの味って感じがする。
アタシはこってりトンコツ味も好きだし
魚介類たっぷりな派手なのも好きだけど
ここの地味なラーメンは
食べてると、なんか落ち着く。
「たまには、いーもんだな」
「そうだね」
「アタシも学生のころ、よく来たもんだよ」
「……」
お互いカウンターの方を向いて
麺をすすりながら、その合間で話している。
「ずっと、こっちで暮してるの?」
「そーだよ。ちっちゃい時はよかったけどね
進学やら就職やらは不便だったよ」
「……そうだろうね」
「今でもちっちゃいけどな!」
「ハハッ」
「エドは、生まれは盆地(こっち)なのか?」
「うん」
……そうなのか。
意外というか、不思議なかんじがする。
「そーか。アタシと一緒だな!」
「……」
ぽつぽつ話してるうち
ラーメンはあらかた食べきっていた。
話題というか 聞きたい事は山ほどあった。
エドについて聞きたいことは多かった。
しかし、かたっぱしから訊いたら
アタシが一方的に取り調べしてるみたいになりそーだ。
だいたいアタシが遠慮なしに喋りだすと
タメにならないトークショーになっちまう。
それに
隣に座ってるエドには
雰囲気があった。
なんだか
自分の事を 喋りたくないような
そんな雰囲気が。
アタシが知りたいのは他でもない
エドの事なんだけどね。
それを追及したら
何だか 今の頼りない関係が
フッとかき消えてしまいそうな
そんな雰囲気が。