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能天気B型のアタシが美少年と……
第5章 おきくむしの章
「ごめん」
エドは、謝ってきた。
「今晩 行かなくちゃいけない所があって」
「そうか。…構わないよ」
”行かなくちゃいけない所”って、なんだよ。
気になったけど 追及できない。
「用事があるんならまた今度でいーよ。
エドさえよければカラオケでも飲みでもいいぞ?」
「うん でもあまり好きじゃない」
「そーなのか?東京なら色々あるだろぅ」
「こっちで過ごすほうが 好きだよ」
「盆地なんてダメだろう!
おしゃれスポットも豪華アトラクションも皆無だぞ?
休みの日だってごろごろしてるかピクニックくらいか無いし」
「俺もそうしたいよ」
「ほう?ならそうすればいいのに。
一緒にまったりこんとすればいいぞ」
「そうしたい」
その時、エドと視線が合った。
すこしの間だけ。
熱気があるような
醒(さ)めているような
感情があるような、無いような。
中途半端な印象だった。
エドはアタシの
ブレスレット嵌めた手を
ちょっと取って、手の甲を握ってきた。
「また会いたい」
「……おぅ」
自転車に乗って
エドは駅とは逆方向にむかっていった。
「また電話するぞー」
「電話するよ」
そう答えて、夜闇にまぎれていった。