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能天気B型のアタシが美少年と……
第5章 おきくむしの章
(さやか♪ さやか♪)
スーパー”さやか”に着いたのは
だいたい夕方6時半てとこだった。
入り口の前でセールの野菜が箱詰めになってる。
もう入店する前からOの介の目つきが変わってる。
野菜どもを睨んで対峙している。
既にOの介は、間合いに入っている。
箱に入ったゴボウやレタス
モロヘイヤ・いんげん豆・赤パプリカ橙パプリカ黄パプリカ。
あわせてパプリカみぴょこパプリカ。
ありとあらゆる野菜どもが
群雲(むらくも)の如くOの介を取り囲む。
その色、その形状そのお値段。
諸々の情報を僅かな眼球移動で捕らえ
ツツ・・・と
摺(す)り足で、間合いを測っている。
……アタシは店内に入った。
そんでカートと買い物カゴを取って
がらんがらと転がしてOの介の所に戻った。
「助太刀つかまつるー……」
そう言うと
「あい判ったー!
かたじけのーござる☆」
と元気な返事がかえってくる。
もうその時にはOの介は
両手にめぼしい野菜をガッチリ押えていた。
一緒に店内にはいると
たりらりら~んと相変わらずの音楽が流れている。
しかし今日は
店内が、全開MAXで混んでいた。
夕方の、もっともデンジャラスな時間帯だった!
段ボールの山とお客で
もう通路らしきスペースはほとんど、無い!
アタシはもうしょんぼりがっくり、さらにソワソワして眉毛がピクピクしてた。
アレだ。お買い物はOの介に任せて
アタシは外で待つか。
……そうすっと電話できるタイミングも作れるか?
ソレだ。そうしよう……
「こっちだよ」
アタシが策略を練ってるうちに
Oの介がカートを引っぱって誘導する。
店内の外周に沿って
比較的空いてるスペースを見つけて
アタシもろとも引っぱって
なだれこんでいく。
「あわわ」
なすすべなく
主婦・子供連れ・仕事帰りのサラリーマンでごった返す人混みに
突っ込んでいく……
買い物用のカートが
品物を物色してるおばさんのお尻にぶつかる。
勢いよくぼい~んと弾き返される。
「すいませんどーも」
「あらごめんねー」
と朗らかに声を掛け合って
更にぎゅうぎゅうと押し合いへし合う。
うぉぉカオスだ。大混雑だ!
ここは、笑顔の戦場だゼ!
しかし、そんな事より
エドに電話してぇ……