この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
能天気B型のアタシが美少年と……
第5章 おきくむしの章
「ああっ、とこぶしがある♪」
Oの介は絶好調で買い物してる。
トコブシは、あわびの小型バージョンみたいなもんかね。
寿司ネタではあまり聞かないけど
酒のつまみには丁度いいんだろうね。
「活きがいいから、ちょっと茹でて食べられるよ」
「そ、そーかい?」
「旬は過ぎてるけど良さそうだよ」
この”さやか”では魚介類はあまり入らないから
わりとレア物だ。Oの介は喜んでる。
しかし、何とか電話する手はないものか……
(ちょっとトイレ)
とゆーことで
Oの介にカートを預けるか。
それなら丁度いい言い訳かもしれん。
でもこのスーパー、トイレなんてあったっけ?
今まで使った覚えが無いから、わからん。
アタシは周りをキョロキョロ見渡そうと、した。
しかしうまくいかん。
人でごったがえしてるから
背伸びしても周りが見えない……
「そーだ。おでんにしよう♪」
Oの介は無邪気にそんな事を言ってる。
アタシは気もそぞろで
身動きとれない人ごみの中で
こんにゃく・ちくわぶ・がんもどきと
おでんの具材あつめをひたすら手伝った……
「こんなもんだろ。よしレジへ……」
「昆布がまだだよー」
「いや、コンブはいいだろぅ。レジへ……」
「なに言ってんの?
昆布のないおでんなんて有りえないよ」
「え、いやそーだけど」
焦ってるあまり、ドツボにはまっておる。
(おでんにコンブが必要かどーか)
なんてこの際どうでもいいのにOちゃんと議論になりそうだ。
このぎゅうぎゅうに混んだ店内で。
それより早く、早くお会計したい……
「昆布のダシがおでん全体に
風味を加えるんだよ」
「おぅ」
「食べなくてもいいから、昆布は
必ず入れるほーがいいんだよ」
「おぅおぅ」
わーった。それは了解だヨ。
頼むから昆布をカゴに入れて
とっととレジに行こう……