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第5章 おきくむしの章

なんて非道な女なんだアタシは。
Ｏちゃんに嘘ついて、駅に向かってる。

……いや、嘘じゃないのか。
”ヤボ用”なのは間違ってない。

エドと電話してて
重たい話し方は避けようなんて、気取ったコトを考えてあっさり切ったくせに未練たらたらで
もう電車乗って新宿に向かってるであろうエドにひと目会いたくて、駅に向かってる。

野暮だな。
まさにヤボ用だな。
ヤボホビットだよあたしゃ。

こんがらがった事情で
Ｏちゃんにはハッキリ言えずに
逃げるみたいに別れてる。


”呪的逃走(マジックフライト)　”


……どこで読んだか忘れたが
そんな言葉を、連想していた。