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能天気B型のアタシが美少年と……
第5章 おきくむしの章
(一緒に新宿まで行ってみたいゾ)
ってのは、そりゃ、本心だ。
新宿だけじゃなく渋谷とか恵比寿とか原宿とか
行きたい所は、わんさか有る。
しかし、今すぐってのは無理だろう。
だってOちゃんの事もあるし、明日の仕事だってある。
エドにだってエドの事情があるだろう。
そんな風に 常識的な事が、頭をよぎった。
ほんの一瞬だ。
エドはまっすぐ、アタシを見下ろしてた。
顔の輪郭は
駅舎の天井の蛍光灯をバックに浴びて
ぼんやりと青く、輝いていた。
「おっし。行くぞー」
アタシはスクーターから、降りた。
「ホントに?」
「おう!行くって言ったら行くぞー」
我ながら 子供っぽいなーと思った。
自分の言った事をちゃんとやりたいだけ
そんな風にとられるかも、しんない。
でも実際
もっと、エドと一緒に居たい。
スクーターは、ロータリーに置きっぱなしにもできない。
そばの駐輪場に預けてこなくちゃいけない。
それだけの時間でも
今のアタシには、不安だった。
「スクーター置いてくるから
ちゃんと待ってろよぅ?」
エドにそう言って
いそいそとペガサス号を押し転がした。
……なんか
お笑い芸人の前フリみたいじゃないか?
言ってからそんな事を考えた。
”待ってろよぅ”って念を押したら
待ってないのが正しい行動じゃ、ないか?
そんな事を考えて
駐輪場でスクーターロックして
くわっ!と振り返ったら
すぐ後ろに、ちゃんとエドが居た。
ついてきてくれてた。
アタシはもう気分が盛り上がってきてて
エドの首に小ジャンプで飛びついて、キスしてた。