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能天気B型のアタシが美少年と……
第5章 おきくむしの章
ドアが閉まって
ガクンと揺れて、電車が動き出す。

エドは、包みこむように
アタシの肩を抱いてきた。

「…………」

エドは、何にも言わなかった。

ただ、キスを繰り返してた。


アタシは、せっつくように一生懸命応じていた。

お互いの詳しい事情なんて話してないし、わからない。
ただ、間違いないのは
このまま東京まで一緒に行く、ってわけにはいかない。

家族にもOちゃんにも黙って
仕事もほおりだして

黙って駆け落ちみたいに失踪できるほど
思い切ったことは、できない。

こんな事になるまで、意識した事もなかったけど
アタシは、やっぱり盆地で生きてるんだ。


エドは、どうなんだろう……?

たぶん、東京で働いているんだろう。
こっち(盆地)には、なにか用事で
たまーに戻っているんだろう。

「なぁエド」

唇が離れた合間に
アタシは、話しかけていた。

「行かなきゃダメなのか?
東京……」


返事も、なにも期待してなかった。
ただ、自然に口からこぼれた言葉だ。

エドは真顔で
やっぱり、何も返事しなかった。

まだガキっぽさの残るその顔で
アタシをただ見つめて
もう一回キスしてきた。

* * *
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