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能天気B型のアタシが美少年と……
第5章 おきくむしの章
「入ってよ」
「ん」
誘(いざな)われて、玄関に入った。
緊張が解けたせいか
「ぶぇっくしゅん」
くしゃみが出た。
「身体冷やしたの?」
「ぃや、全然へーきだょ」
ろくに髪を拭いてなかったせいだろう。
アタシは短髪を撫で付けた。
まだ湿っている。
「おでん温っためなおすね」
「うん……ゴメンな、遅くなって」
また謝った。
Oちゃんはそれには返事せず
台所のクッキングヒーターの方へ行った。
アタシは、部屋にあがって
目の前のモミの木を避けて、よけた先にあるゴムの木を避けて
さらに続々と立ちならぶ観葉植物を避けまくってちゃぶ台のそばに行った。
ちゃぶ台にはあらかた食べきった料理のお皿が乗っていた。
Oちゃんはとっくに食事をすませていたんだろう。
当然だョ。あれから何時間も経ってるし。
Oちゃんが、コップを持ってきた。
「どーぞ。あったまるよ」
そう言って、紙パックから焼酎を注いだ。
「いや、アタシは……」
「ささ」
勧められると、アタシは断りきれなかった。
こんな事で
もうOちゃんの機嫌を損ねるわけには、いかん。
それに今だって
Oちゃんが意外なほどに穏やかだから
アタシはむしろ、怖かった。
やむを得ず、アタシは焼酎をひと口すすった。
案外さらっとしてて
飲み込むと喉が心地よく、カッとなった。