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能天気B型のアタシが美少年と……
第5章 おきくむしの章
「おでん温めなおしたよ。ほら」
ちゃぶ台に戻るなり、おでんを勧められた。
その器の中身を見てアタシは、ガク然となった。
「……」
まともな具材はもう既に、残っていない。
こんにゃくと昆布ばっかりだ。
コンニャク&コンブが”まともじゃない具材”だと言えばそれは不適切かもしんない。全国の蒟蒻畑の人や昆布採集をしてる人にも失礼かもしれない。でもやっぱりおでんの器に蒟蒻&昆布だけとゆーのは殺風景だと言わざるを得ない。
「どーぞ」
「あ、ああ……」
文句は言えない。
今更ノコノコ戻ってきたアタシは
『なんでチクワがないんだヨ!!』などと文句を垂れる立場にはない。
「ああそぅだ。カラシを……」
「カラシ?」
「ちょっと、買ってきたのサ」
アタシはポケットで握り締めていたねりからしを出した。
Oちゃんへのおみやげだけど
『はい、おみやげ』などと言える代物(シロモノ)じゃない。
「ちょーどよかった♪
カラシ無くなりそうだったんだ」
「そ、そーかい」
Oちゃん嬉しそうだ。
よかった!
と一瞬思ったら、アタシからカラシを取ってさっそくおでんの器に
ぶにょ~~~っと出した。
「ふぁっ!?」
煮られた昆布の深い緑に、鮮やかなカラシが彩りを添えた。
しかも大量に。
そしておでんのスープの色が
淡い琥珀色から、みるみる支子(くちなし)色へと変わった。
わかりやすく言うと白っぽいイエローだ。
その時、アタシに戦慄が走った。
Oちゃん、やっぱり怒ってるのか……