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第3章 あいあいの章

楽しい林道ツーリングは、ものの数分で終わっちまう。
右折して国道にはいる。
国道は、一日中車が多い。とろとろ詰まってる。
右手にはずっとガードレール。その向こうは田んぼ。
左手にはスタンドとか、地味な建てものが並んでる。

路肩に近いところを、抜けてく。
タイヤから砂利っぽい感触が這い上がってくるんで、いらっとする。

ホテル「シャンパーニュ」が見える。

ラブホのくせに、しゃれっ気の無い外装。
ビジネスホテルが食あたり起こしたような、アンニュイな佇（たたず）まい。

……ますますブルーになる。
この間のことを、また思い出しちまう。

今頃、ノッポはどうしてるんだろう。

うちの近所には、高校も大学もない。
ノッポはどんな巡りあわせで、あの時、田んぼにいたんだろう……？

もう、何の手がかりもない。

それにもし、もしもだ。

偶然ノッポと再会できたとして、そんときアタシゃ何て謝れば、いいんだ？
あんな、ちゅうぶらりんなキスやらタッチやらして
あほな理由で中断させて

アタシは何にも言葉がでないで固まって

あげく

（ごめんなさい）

……

冗談じゃ、ねぇ……

ノッポに会えたって、もうどうしようもねぇヨ……


そうそう。

どうしようもないさ。
アタマ切り替えないとね！

アタシは無理やりに
アイアイ退治に集中することにした。