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能天気B型のアタシが美少年と……
第3章 あいあいの章
駅前から国道に出て、通りぞいに歩いた。
エドと並んで歩いた。

「……今すぐでよかったのか?」
「……今すぐでよかった?」

二人で同時に、同じ事を訊いてた。

エドは、アタシが渡した電話番号に
ものの数秒で、電話してくれた。

きっと信じて、いいんだろう。
好意的に受け取ってもいいんだ。

エドは、アタシが仕事中だと思って、気を使っているんだろう。
そんな気遣いは、無用だ。

あんなあほな会社なんて、いいんだ。
……もちろん後ろめたい気持ちも、ある。
悪いことをしている気持ちも、ある。
だから作業着だけは、脱いでおいた。
胸のところに会社のロゴが、入っているからね。

今すぐ触れ合いたい。
エドと触れ合いたい。
そうでないと、なんで生きてるのか、わからない。
もう後悔したくない。

隣を歩いてるエドを、見上げた。
アタシの視線に、気付いてる。
少年の面差しはこわばって、前をみている。

(このあいだの つづきをしよう)

もうお互いの意思は、伝わっている。
信じてもいいんだ。

……予備のヘルメットが、あればよかったんだけどね。
本当はバイクに乗っけて直行したかった。

歩いて、ホテルに入った。


部屋なんてどこでもよかったから、適当にボタンを押した。
エドが財布を出そうとする。
アタシはすかさずエドに助走なしのタックルをかました。

OLの財力を、なめるな!
それにお金のことで気が散るのはもう、ゴメンだ!

カギを持ってエレベーターに乗った。
昇っていく狭いカゴの中で、エドに念を押した。

「今日は、好きにしていいから、な?」

エドは真っ直ぐ前を向いたままだ。
目を、あわせようとしない。でも

アタシの手を握ってきた。

いつぞやの時と、ゼンゼン違った。
痛いくらいギューーッと、握ってきた。

(うわわ……!)
すでにアタシはエレベーターの中で、骨抜きになってしまった。

* * *

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