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キスより蕩けたヒメゴトを
第1章 【セピア色の二人は】




そんな沙織が今年に入ってこの高校二年A組の担任を受け持つ事になった。

去年この学校に現の二年…当時一年生の生徒と同じ年頃に赴任してきて今年の春、担任を任される。
初めての事に沙織は不安で仕方がないのだ。




「去年皆と一緒だったから名簿暗記だけは免れたけど…」



なにしろ沙織は昔からの引っ込み思案だ。
大人しく、幼少期から特に目立った形跡は無く普通に平凡に。ただ勉強だけが取り柄の女の子だった。

友達もそれなりに。人付き合いもそれなりに。だから生徒との絡みもそれなりに。人気も不人気も。


何もかも纏められるのが"普通"がしっくりきていて、それを無理に変える様な事はしないで日々過ごしている。




「はぁ…お見合いの話もあったんだった…」



重なる不安事に沙織は教卓の上に肘をつき頭を抱えた。


昔の人と今の人の結婚基準を押し付けないで欲しい。自分くらいの年頃で結婚したい!と強く思う人は昔と比べてそこまでいないと何かの番組を見て沙織は深く頷いた。





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