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キスより蕩けたヒメゴトを
第1章 【セピア色の二人は】

教師になるまで待ってほしい。
そう言って数年。教師になって今年二年の新米。急かされる実家からのお見合い連絡。沙織はもう疲れ切っていた。
「…彼氏いたら…お見合いなんてしつこくしないだろうな」
嘘でもつくんだった。
とは思うが親に嘘を作るのは何だが忍びない。どちらにせよ遅い。沙織は母親に彼氏がいない事は把握されている。
彼氏は一度、過去に。
この年になって付き合った男の数は一人だけだ。しかもそれは高校生の時で、今日までそれは育った。
信じられない話だと思うだろうか?何だが恥ずかしい気持ちが沙織の中に少しだけあったのだろうこの事はあまり人に話した事は無い。
好きになった事は何回かあっても付き合った事はその一回だけ。
彼女は恋にも臆病だった。
過去に付き合ったその彼と思春期。
一度そういう雰囲気になった事もあった。初めてだらけの事に戸惑い、それを拒んだのは沙織の方だった。
「…24にもなって経験ないとか…」
考え出したらキリがない。
不安は増すばかりだ。

