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キスより蕩けたヒメゴトを
第1章 【セピア色の二人は】

「……ほんと情けない…」
深く息を吐いて教卓の下に落ちたペンを拾おうと潜り込んだその時だった。
ーーガラッ
「誰もいないね」
遠方から聞こえる扉開く音に女の声。
教卓から見て後ろの扉が開いたのかと理解すると沙織はペンを手にして立ち上がろうと腰を半分浮かした。
が、
「誰も…いないねぇ?」
叶う筈もなく。その声に沙織はピタリと身体を硬直させた。
突如、変わる甘い声色。
先程と同一人物かって程の声色トーンに胸が弾む。女子生徒だって事は分かる。
自分より遥か年下の"女"の声に沙織は鼓動を掴まれた様な気がした。
まるで誘う様な桃色の声。

