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カルボナーラと恋
第2章 更に雨
「えーと、私は何をしたらよかったのかしら。ああ、ご本ね」

「はい」

「また、『はい』ね」

「はい」

健二君は、両手でマグカップを包み込むようにして、耳まで真っ赤になっている。

「なんていうの」

「佐藤健二です」

「イヤーね。ご本の名前」

「あ!すみません。えーと、『経済思想の巨人たち』という本です」

「単行本?」

「はい、最近、文庫本が出たようですが、先輩の蔵書は単行本です」

「蔵書ね。蔵書って程のものではないような気がするけど...。まあ、いっか。了解!待っててね」


二階の私の寝室の隣が息子の部屋。

二ヶ月、主(アルジ)が留守のちょっと黴臭い部屋のカーテンを開けた。

初夏。外は生暖かい雨。鈍より雨雲が垂れ下がっているせいか、10時過ぎだというのに、まだ、薄暗い。

明かりをつけて書棚を見ると、確かに三段目の二列目にその本はあった。


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