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NOROI〜呪い〜
第7章 天狗の呪い【妹娘編】
「ワシが優しいだと?寝言を言うでない」
「けれど無理やり手籠めにせず、わたしの願いをきいてくださいました」
「それは…」
「そういえばお詫びもまだでしたね。何をしでかしたか存じませぬが、どうか姉のご無礼をお許しください」
「そなたは悪くない、頭を上げよ」
「やはり、お優しい…」
「な…!」
人間に感謝などされたことのない天狗は調子が狂ってしまいました。
いつだって天狗は恐れられ、疎まれていたのです。
いつしか天狗の頬は濡れていました。
「天狗さま、なぜ泣いておられるのですか?」
「泣く?泣くとは何だ」
天狗は涙など知りません。
「悲しい時や、嬉しい時に眼(まなこ)から溢れ出る雫です。天狗さまは今、悲しいのですか?」
「いや、悲しくなどない」
「では、嬉しいのですか?」
「…わからぬ。ただ、お前を見ているとここが苦しいのだ」
胸に手を当てて妹娘をじっと見つめました。
「まあ…わたしもです」
頬を染めながら天狗を見つめ返します。
天狗は身体が熱くて堪りません。
〜続く〜
「けれど無理やり手籠めにせず、わたしの願いをきいてくださいました」
「それは…」
「そういえばお詫びもまだでしたね。何をしでかしたか存じませぬが、どうか姉のご無礼をお許しください」
「そなたは悪くない、頭を上げよ」
「やはり、お優しい…」
「な…!」
人間に感謝などされたことのない天狗は調子が狂ってしまいました。
いつだって天狗は恐れられ、疎まれていたのです。
いつしか天狗の頬は濡れていました。
「天狗さま、なぜ泣いておられるのですか?」
「泣く?泣くとは何だ」
天狗は涙など知りません。
「悲しい時や、嬉しい時に眼(まなこ)から溢れ出る雫です。天狗さまは今、悲しいのですか?」
「いや、悲しくなどない」
「では、嬉しいのですか?」
「…わからぬ。ただ、お前を見ているとここが苦しいのだ」
胸に手を当てて妹娘をじっと見つめました。
「まあ…わたしもです」
頬を染めながら天狗を見つめ返します。
天狗は身体が熱くて堪りません。
〜続く〜