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NOROI〜呪い〜
第8章 呪いの水着?
僕は怪しい雑誌の怪しい通信販売で、あの女に復讐するためのアイテムを購入した。

優しい心を持った女には無害だが、あの女ならばきっと僕の予想通りの言動で赤っ恥をかくだろう。

「虐げられ続けた男の恨み、思い知るがいい!」

僕は前祝いのビールを飲みすぎ、翌日の第一講義に遅刻した…


――海姫(みき)は近所に住む幼馴染みで、大学までずっと一緒の腐れ縁だ。

どちらかというと大人しい僕は、恋人でもないのに海姫のワガママにいつも振り回されていた。

海姫の機嫌が悪い時に殴る蹴るの暴行を受けるのは当たり前、他の女の子に宛てて書いたラブレターを本人に渡す前に取り上げられたこともある。


「これ誕生日のプレゼント、水着なんだ。今日着て欲しくて…」

「な、何よ、水着なら持ってきちゃったわよ」

「ごめん、驚かせたくて黙ってた。これ人魚姫をイメージした水着なんだってさ。海姫にピッタリだろ?」

海姫をプールに誘い出した僕は、何とか水着を着させることに成功した。


「お、お待たせ」

パレオ付きの淡いブルーのビキニを身に着けた海姫は、悔しいけれど綺麗だった。
プールサイドの男達がこぞって振り返るほどだ。

「どう、かな?」

「う、うん、すごく似合ってる」

思わず本音が溢れた。

「素敵なプレゼント、ありがとう」

あれ?おかしいな…いつもの海姫なら、「趣味悪ッ!」とか「安っぽい」とかボロカス言うはずなのに…

「あのね、ミナトから誘ってくれたの初めてだから嬉しかった」

どうしたんだろう…相手は大嫌いな海姫だというのに、なんだか可愛く見えてきた。

「いつも意地悪してごめんね?私、本当はずっとミナトのこと…」








―――結局、僕の復讐が果たされることはなかった。


『持ち主に愛されないと、水着は人魚姫のように泡となって消えます』



僕の選んだ物なんか気に入るはずがない、海姫は水着を否定してプールサイドで真っ裸になる、そう考えていたのだ。

でも僕は復讐計画が失敗して良かったと、今は思ってる。

だって他の誰かに見せるなんてとんでもない、海姫の裸を見ていいのは僕だけだから…



(終)


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