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NOROI〜呪い〜
第12章 続・なんこつ唐揚げの呪い
目覚めた時は病院のベッドの上だった。
いつもは緊張感の欠片もない顔のあいつが、泣きそうな表情で上から覗きこんでいる。
「良かった、気がついたか」
打たれ強いのか図々しいのか叩き出された部屋にすぐ戻り、トイレで吐きながら倒れている私を発見して救急車を呼び付き添ってくれたらしい。
「…ありがとう。もう大丈夫だから、合鍵置いて帰って」
起き上がって頭を下げる。
我ながら酷い言いぐさだけど、顔を見ると気分が悪くなるのだから仕方ない。
「そんなに拗ねるなよ、まだ肝心なこと言ってないんだ」
性懲りもなく、あのビックリ箱を取り出して開ける。
ヤツが指先でカリカリ擦ると薄い紙が剥がれ、下から小粒のダイヤが光る指輪が現れた。
「なによ、それ…?」
「ネタばらしする前に怒りだすから言えなかったんだよ」
ゴホンゴホンと咳払いして、
「俺と結婚してください」
ケースごと指輪を差し出した。
「だって、そんな…ウソぉ」
「誓って、これは嘘じゃない」
指輪をケースから出して、涙ぐむ私の左手をとり薬指に嵌める。
「ふざけてごめん、結婚しよう?」
泣きながら頷く私を、あいつはそっと抱き締めてくれた。
「それからな、お前、妊娠してるってさ」
「え!?」
「吐いたの、悪阻だったんだよ。イライラしやすいのも…いや、これは前からか」
「…なんこつ唐揚げの呪いかと思った」
「プッ、それいいな!子供の名前"なんこつ"にするか?」
「バカか!!」
胸に抱かれたまま顎に頭突きすると、ヤツはアハハ痛いなぁと笑った。
(終)
いつもは緊張感の欠片もない顔のあいつが、泣きそうな表情で上から覗きこんでいる。
「良かった、気がついたか」
打たれ強いのか図々しいのか叩き出された部屋にすぐ戻り、トイレで吐きながら倒れている私を発見して救急車を呼び付き添ってくれたらしい。
「…ありがとう。もう大丈夫だから、合鍵置いて帰って」
起き上がって頭を下げる。
我ながら酷い言いぐさだけど、顔を見ると気分が悪くなるのだから仕方ない。
「そんなに拗ねるなよ、まだ肝心なこと言ってないんだ」
性懲りもなく、あのビックリ箱を取り出して開ける。
ヤツが指先でカリカリ擦ると薄い紙が剥がれ、下から小粒のダイヤが光る指輪が現れた。
「なによ、それ…?」
「ネタばらしする前に怒りだすから言えなかったんだよ」
ゴホンゴホンと咳払いして、
「俺と結婚してください」
ケースごと指輪を差し出した。
「だって、そんな…ウソぉ」
「誓って、これは嘘じゃない」
指輪をケースから出して、涙ぐむ私の左手をとり薬指に嵌める。
「ふざけてごめん、結婚しよう?」
泣きながら頷く私を、あいつはそっと抱き締めてくれた。
「それからな、お前、妊娠してるってさ」
「え!?」
「吐いたの、悪阻だったんだよ。イライラしやすいのも…いや、これは前からか」
「…なんこつ唐揚げの呪いかと思った」
「プッ、それいいな!子供の名前"なんこつ"にするか?」
「バカか!!」
胸に抱かれたまま顎に頭突きすると、ヤツはアハハ痛いなぁと笑った。
(終)