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NOROI〜呪い〜
第13章 『O〜い、お茶』の呪い
「死ぬ前に母さんが淹れたお茶が飲みたいなんて、浮気ばっかりしてたくせに父さんも最期に可愛いげのあること言ったわよね」

「ああ、飲んだら良い顔して逝ったもんな…本当に愛してたのはお袋だったんだなって思ったよ」


父の遺影を前に、姉弟はしみじみ語り合う。


「なぁに、何の話?」

部屋に入ってきた母親の茶子が、持ってきたペットボトルのお茶を子供たちに渡した。

「何だよ、父さんと扱いが違うなぁ。俺達には旨いお茶淹れてくれないのかよ?」

「うちのお茶は十年以上ずっとこれよ?スーパーの安売りの時に箱買いしてるの」

「「ええ!?」」

「あっちこっちで女つくって、たま〜に思い出したみたいに帰ってくる人にお茶を淹れてやる気になんかなるわけないでしょう?暖めるのも面倒だから寒いときはお湯で割って出してやってたのよ」


喉を鳴らしてペットボトルのお茶を旨そうに飲む母を、姉弟は呆気にとられて見つめる。

「バカよね、市販のお茶をさらに薄めたものを死に際に飲みたがるなんて…」

「…お袋」
「母さん…」

「バカよ、本当に」
茶子は瞳に浮かんだ涙が零れないように、お茶を飲むふりで顔をグイと上げた。



(終)



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