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NOROI〜呪い〜
第5章 なんこつ唐揚げの呪い
真夜中にチャイムが鳴り響く。当然無視していたがあまりにしつこい。
…このままでは隣のオッサンに怒鳴りこまれてしまう。

仕方なくドアスコープをのぞくと、長年の男友達が酔っ払ってフラフラしているのが見えた。

「おせぇぞ〜!もっと早く開けろよぉ〜」

「深夜に一人暮らしの乙女を奇襲しといて文句言うな!」

蓋を開けたミネラルウォーターのペットボトルを渡すが、
「ぅんッがッくッく!」
半分以上溢しやがった。

「あ〜あ〜、まったくもぉ」
タオルで拭いてやると、人の腰に抱きついてくる。

「ちょっと!相手を間違えてるわよッ」

脳天に肘を落としてやるが離れない。

「…フラれた」

まあ、そんなことだろうとは思ったけどさぁ…

「なあ、ナンコツって、ここだっけ?」

「バッバカ!そこは、あんッ…ち、恥骨…!」

「え〜?ナンコツじゃないっけ?」

「違うから離せッ…やぁん」

「俺さっき、なんこつ唐揚げ食ってきたんだぁ」

「だから何よッ…んんッ…ばか、人の気も知らないでホントにもう…!」


コイツにとって、私はただの友達だ。
でも、私にとっては―――!




「はぁ…」

朝日が射し込むベッドで、裸で眠るヤツの後頭部を眺めて私はタメ息を吐く。

「ずっと片想いだったのに、こんな風に一線を越えるなんて思わなかったな…」

「そりゃ知らなかった」

「ッ!!」

ヤツが目を擦りながら振り向く。

「ごめん、夕べのこと何にも覚えてないんだ…なんこつ唐揚げの呪いだと思って、エッチしたことは忘れてくれ」


「しっかり覚えてるじゃないのよッ!!」

思い切り殴ったら、ヤツは能天気な顔でアハハと笑った。



(終)


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