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NOROI〜呪い〜
第7章 天狗の呪い【妹娘編】
美人姉妹の姉娘を花嫁に捧げた日から、村には白くネバついた雨が降り続いています。

やはりアレでは気に入らなかったか、と反省した村人達は次の花嫁を誰にするか話し合いますが、なかなか決まりません。

そんな事情を知った妹娘は、
「わたしが参ります」
と村長に申し出ました。

「しかし、お前は身体が…」

「あねさまが粗相をしたのなら、妹のわたしがゆくのが当然です。どうか、わたしを天狗さまの元へ…」

姉娘と違い、村人達は妹娘を慈しんでいたのですが、他に良い手だてもありません。

泣く泣く妹娘を山へ運び、
「すまんのぅ、すまんのぅ」
男衆は後ろ髪引かれながら山を下りて行きました。


一人になった妹娘が辺りを見渡すと、天狗の家の窓から黒炭のような何かが突きだし、その先から白い雨が吐き出されています。

「ごめんくださいまし」


妹娘が中に入ると、何やら低い声が聴こえてきました。

「まあ!天狗さま、どうなさったのですか」

部屋にギュウギュウ詰めになった天狗が苦し気に呻いています。

「え、何ですって?は、う、ち、は…葉団扇ですね?探して参ります」

妹娘は家中を探しますが見つかりません。もしやと思い、家の外をぐるりと回るとそれらしい団扇が草むらに落ちていました。

それを持って天狗の所へ戻り、
「天狗さま、持って参りました」
団扇を捧げます。

天狗が何事か囁き、
「え、はい…マラよ小さくなぁれ?」
妹娘が言う通りにすると、ようやくマラは通常サイズに戻りました。

「おのれ娘、よくも…」
頭から飲み込んでやろうとしましたが、娘をよくよく見るとあの乱暴者ではありません。

「お前は誰だ?」

鋭い眼光で射抜かれ、食われる覚悟を決めて目を閉じた妹娘は
「先日の花嫁の妹にございます」
震えながら答えました。



〜続く〜



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