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冷たい月を抱く蝶
第6章 狂気への目覚め
数日後、仕立て屋さんに頼んだドレスがお屋敷の方に届いた。それは、誕生日会用のドレスだった。

完成した青いドレスには、素敵なリボンの飾りと、綺麗なフリルのレースが沢山ついていた。

見た目はお姫様のように、華やかだった。そんな素敵なドレスを前に、私は自然に顔が緩んだ。

「見てお義父様!」
「このドレス凄く可愛いわ!」

「私、こんな可愛いドレスを着てみたかったの…!」

「早く明日にならないかしら?」

私はドレスが飾られたマネキンの前で、胸が弾んだ。明日は私の誕生日会。私のお友達や、お義父様の知り合いの方達が、私の誕生日を祝いに集まってくれる。

 ここに来て三年が経ったけど、私にも素敵な友達が出来た。

マリーベルとビアンカとジェニファーと、ビクトリアとステファニー。彼女達は、女子学校で出来た友達。

お義父様は、私を女子学校に入れてくれた。あの頃の私には、学校に行ける環境もなかった。だから素直に嬉しかった。

 私は皆とは勉強が少し遅れてるけど。毎日、学校に行くことが楽しい。

勉強をすることで、色々な知識を学べるからだ。読み書きは大変だけど、私はお義父様をガッカリさせない為にも、勉強を一生懸命頑張った。

私とお義父様は血が繋がっていない関係だけど、お義父様は私を本当の子供の様に優しく接してくれる。

きっと今の私がいられるのは、お義父様のおかげだ。口には出していないが、私は毎日お義父に心から感謝している――。
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