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冷たい月を抱く蝶
第6章 狂気への目覚め
「どうしたのお義父様?」

「いや…。ちょっとお前の顔を見に来たんだ」

「まあ、そうなの?」

「ああ、どうだ瞳子。パーティーは楽しかったか?」

「ええ、みんな私の誕生日を祝ってくれたわ!」

「それにお友達から、素敵なプレゼントを頂いたわ!」

「見てこのクマの縫いぐるみ。凄く可愛いわ!」

「私こんなクマの縫いぐるみが欲しかったの!」

私は父にクマの縫いぐるみを見せて、はしゃいだ。でも、お義父様の表情はどこか暗かった。

「どうしたのお義父様…?」

私は椅子に座っている父の足下にしゃがみこむと、手を重ねた。

すると、彼は私をジッと見てきた。その瞳は物言いたげな目をしていた。

「瞳子……」

「何お義父様…?」

「いや、なんでもない――」

父は椅子から立ち上がると、扉の前まで歩いた。ドアノブに手をかけると、父は私に言ってきた。

「そうだ瞳子。彼から連絡が来たんだ。明日辺りに着物が届くそうだ。楽しみにしてなさい」

「まあ、着物が出来たの!?」

「ああ、そうだ。じゃあ、私は部屋に戻るよ」

「ええ、おやすみ瞳子」

「おやすみなさい。お義父様」

私は部屋から出て行く父に、おやすみの挨拶を言うと、自分のベッドの中に潜り込んだ。
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