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学園物えっち短編集
第20章 桜舞い散る中の君
その日の放課後の事。
仲良くなったクラスメート達と、学校帰りにカラオケに行って夕方家に帰ろうとした時だ。
学校に数学の教科書を忘れて、取りに戻った。
数学の教師が口うるさいので、数学だけは宿題をやらなくては…。
学校に着く頃、先ほどまで晴れていたのに急に雨が降ってきた。
ちょうど教室に折りたたみの傘もあるので、学校に戻って良かったかもしれない。
教室で傘と数学の教科書を取って校舎を出ると、ちょうど桜さんと出会ったあの桜の木の下に誰かが立っているのが見える。
あれは…桜さんだ。
しかも、傘もささずに雨の中突っ立っている。
あの人は何をしているんだ…。
昼休みにあんな事を言ったばかりだが、無視して帰る事も出来ず、俺は桜さんの所に行って桜さんに傘をさしてやった。
「…何やってるんですか?」
「…ヒックッ」
泣いてる!?
「え…何かあったんですか!?」
「…桜が」
「桜?」
「こんな雨降ったら…ヒックッ…散った桜が汚くなる…」
「は…?」
俺が馬鹿なのか…?桜さんが言ってる意味が全然わからない…。
それに、何で泣いているのかも理解出来ない。
「…散った桜が雨でぐちゃぐちゃになった所見た事ないの?」
「多分あると思いますけど…正直あんまり気にした事ないです…」
「ここ桜の花びらが泥水でぐちゃぐちゃになるの。ずっと晴れてて欲しかったのに…」
「仕方ないですよ…雨は防ぎようがないし。桜は毎年咲きますし…そんな泣く事ないじゃないですか」
「…」
「それより、桜さんびっしょりですよ。教室に使ってないハンドタオルあるので一回教室行きましょう?」
桜さんの背中に背を添えると、桜さんは黙って俺に着いてきてくれた。