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龍ちゃんの豹変
第1章 へたれな龍ちゃんが変わる時
ドタドタドタ!

「夏帆!階段は走らない!」

自分の家に戻り階段をかけ昇るとお母さんの声が聞こえた。

うっさい!うっさい!うっさい!
こんなの走りたくもなるよ!
あの人畜無害な龍ちゃんがあんな裏の顔してたなんて!

本当は……本当はへたれな龍ちゃんに私の処女をもらってもらうのが夢だったのに。
ほのぼのした家庭を作るのが夢だったのに。
こんなの詐欺だよ…どうしていいか分かんないよ…

バタン!とドアを勢いよく閉め布団を頭から被った。
真っ暗になった途端に思い出されるのは龍ちゃんのイケメンの顔と合わさった唇。

18にもなってファーストキスとか遅いと思われるかもしれないけど、私はちっちゃい時から龍ちゃんが好きだったんだ。
だから龍ちゃん以外の人とはしたくなかったし、それにへたれな龍ちゃんはモテるわけないと思ってたから龍ちゃんも童貞だと思ってた。

いつか二人のタイミングで……ってそんなふうに妄想してたのに!してたのに!

「……んなんじゃ一生エッチできないだろ」

すぐ近くで聞こえた声。
恐る恐る布団から顔を出そうとすると勢いよく布団を剥がされた。

予想はしてたけど目の前に龍ちゃんがいる。

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