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白雪姫にくちづけを
第32章 番外編


*** *** ***

『…げ。』


『浩巳くんじゃん!げって何だよ!元気してるか?』


『カズヤくん、私の大事なお客様に話かけないでくれる?』


浩巳の目の前に現れたのはカズヤと芽衣。
既にブースで商談中のカズヤは、別の女性を連れて、この店に来店していた。


『お待たせいたしました。』


カズヤとは別のブースに座る浩巳に、芽衣がリングを手に現れた。
芽衣は、このジュエリーショップで働いている。


『……。』


『まさか知り合いが店員じゃやりにくいよね?担当、他の者に代わりましょうか?』


芽衣が浩巳を見つめて、微笑む。


『え…い、いや!そんなことないです。むしろラッキーでした。あずさのこと知ってる人なら、相談しやすいので。』


そう言う浩巳の視線は、さっきから斜め向こうのカズヤに向けられている。


『カズヤくん、来年、結婚するんだって。一緒に来てるのは彼女さんよ。今日はマリッジリングを選びに来てるの。』


『…へえ。(マリッジ…結婚指輪のことか。)』


芽衣の言葉にうなづきながら、浩巳は視線を手元に移す。
そこには先日、小泉に聞いた、あずさ好みのリングが数個並べられている。


『……どれがいいと思いますか?』


正直、候補が絞れたことはありがたかったが、それでも、指輪のセンスは彼には分からなかった。
悩んでもらちが明かないと踏んだ浩巳は、直接、物を見に、店頭へやって来たのだ。

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